
“私が実際に訪れ、五感で感じたフランス4地方の食文化を、
生産者の思いとともに皆様にお伝えし、味わっていただきたいと思っています。
各地方の特徴ある珍しいチーズやワインもご用意いたしますので、
どうぞお楽しみに。”
野口貴宏「ビストロ ブノワ」シェフ
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1.20(金)-29(日)
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パリから北東へTGVで45分、なだらかな丘陵が広がるシャンパーニュ地方。 中心部都市ランスは歴史的にも華やかで、フランス歴代国王の戴冠式が行われた大聖堂は、世界遺産に指定されています。 フランスのワイン産地としては最北端にしてパリから最も近い名釀地で作られる”シャンパーニュ”は、祝宴を彩る幸せのお酒として世界中で愛されています。 自慢のシャンパーニュを隠し味に使ったさまざまな伝統料理と黄金にきらめくシャンパーニュとのマリアージュは格別。ブルゴーニュ地方に程近い南側でじゃ良質な牛の乳で作られるチーズもシャンパーニュと並ぶ特産品です。
“シャンパーニュ”はシャンパーニュ地方で作られているスパークリングワインです。 しかし、シャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインがすべて”シャンパーニュ”と呼ばれるわけではありません。指定された地域とブドウ品種(主にビノ・ノワール、ビノ・ムニエ、シャルドネの3種)を使い、製法やワイン法に規定された厳しい条件を満たして作られたものだけが”シャンパーニュ”と名乗ることができるのです。 現在300を超えるシャンパーニュメゾンは、それぞれの秘伝に基づいて、畑や品種、収穫年の異なるブドウから作られるワインを独自にブレンドし、メゾンにふさわしい味わいを作り上げます。そのため、シャンパーニュの多くは収穫年(ヴィンテージ)が表示されません。しかし、ブドウの出来が良く、質の高いシャンパーニュが作れると判断したメゾンは、その年のワインだけをブレンドして、ヴィンテージ・シャパーニュを作るのです。
畑や品種、樹齢ごとに、ブドウの果汁を発酵させ、白ワインを作ります。その後、その年まで同様に作られた何十種類もの白ワインとブレンドし、品質を均一に、さらにメゾンのスタイルにあった味わいに仕上げます。
ブレンドしたワインに天然酵母と糖を加え、ボトルに詰めます。ボトルは地下の涼しい倉庫に保管され、ワインはボトル内でゆっくりと二次発酵します。酵母の働気によりワインの糖分はアルコールと炭酸ガスに変化します。
発酵が終わると、ボトルに溜まった沈殿物を取り除くため、ボトルの頭を斜め下向きに置き、その沈殿物をボトルの首の方に集めます、1本1本、毎日1/8ずつ回転させるこの作業は6週かんから3か月間繰り返されます。
ボトルの首に集められた澱は、瓶口を瞬間的に-25℃に凍らせてから栓を抜き、凍った澱を瓶内の圧力によって飛び出せます。その後、ボトルに少量のリキュールを加えてシャンパーニュの味を調えます。
シェフ野口が訪れたのは、1836年にランスにたんおじゅしたシャンパーニュメゾンの老舗「ポメリー」。もともと甘く、デザートワインのような食後酒とされていたシャンパーニュを、食前や食事中にも広く楽しめる辛口、「ブリュット」として世界で初めて1874年に誕生させたのがポメリーです。最高醸造責任者ディエリー・ガスコ氏の研ぎ澄まされた感性と経験、技術によって、エレガントな香りとフレッシュかつ快活な味わい、そして長い余韻が特徴のポメリーのスタイルは守られています。
ポメリーのぶどう畑
「ポメリー」最高醸造責任者ティエリー・ガスコ氏とシェフ野口
シャンパーニュ地方の南は森や湖が広がり、牧畜が盛んです。質の良い牛乳から作られるチーズがさまざまありますが、「シャウルス」と「ラングル」はどちらもシャンパーニュ地方自慢のAOPチーズ。いずれも生産者が少なく希少です。 ラングル(写真左) シャンパーニュ地方南東部、ラングル高原で作られるウォッシュタイプのチーズです。表面は明るいオレンジ色で、湖と呼ばれる窪みがあるのが特徴で、通はそこにシャンパーニュを注ぎ、さらに熟成させて複雑な風味と香りを楽しむのだとか。
シャウルス(写真右) パリから南へ電車で約1時間、シャンパーニュ地方南部の街サリニーに、1895年からチーズを作る「シャウルス」の生産メーカー「リンセ」を訪れました。「シャウルス」は白カビタイプのチーズで、12世紀頃から修道院で作られるようになったといわれています。24時間以上かけて生乳を凝固させてから容器に入れ、1〜2にちかけて水分を抜き、その後最低15日かけてじっくり熟成させます。見た目はカマンベールによく似ていますが、味や食感は異なり、クリームチーズのように滑らかな舌触りと優しい味わいが特徴です。
パリから特急列車で約1時間半のトロワは、中世時代の景観が残る古都で、シャンパーニュ地方一番の美食の街。大聖堂のすぐそばにある「ル・シャン・デゾワゾー」はおの街らしい木骨組み造りの美しいホテル。ホテルでの食事も見逃せません。
Le Champ Des Oiseaux
29,rue Linard Gontheir, 10 000 troyes
tel:03 25 80 58 50
www.champdesoiseaux.com
【予約・お問い合わせ】
シャトー&ホテル・コレクション
Tel 050-3784-9550
Photo by Shiro Muranatsu
フランスにはその土地ならではの歴史や文化を今に伝える暮らしと風景、そして食文化がたくさん残されています。 今年ご紹介する4地方を野口シェフが訪れ、生産者やシェフに会うことは、皆様に「ジェーム・ラ・フランス」という味わいの旅を楽しんでいただくための重要なプロローグです。 その土地の文化や人々に思いを馳せながら、料理とワインを味わってみてください。きっとフランス料理をいつもより一段と美味しく、楽しんでいただけるでしょう。
アラン・デュカス