2014年より開催している「ジェーム・ラ・フランス」は、東京にいながらにしてフランス各地方の地元で親しまれる郷土料理や食材、ワイン、チーズ、デザートをお楽しみいただけるイベントです。2016年は5月、7月、10月そして2017年1月と、4回にわたってバスク、コルシカ、ローヌ=アルプ、そしてシャンパーニュ地方4地方の味わいをめぐる旅に、ご案内いたします。
“私が実際に訪れ、五感で感じたフランス4地方の食文化を、
生産者の思いとともに皆様にお伝えし、味わっていただきたいと思っています。
各地方の特徴ある珍しいチーズやワインもご用意いたしますので、
どうぞお楽しみに。”
野口貴宏「ビストロ ブノワ」シェフ
特別ディナー
ソワレ・グルマンド7.21(木)
メニュー
7.22(金)-31(日)
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10.21(金)-30(日)
ブレス鶏と赤ワインが有名な、フランス随一の美食の宝庫。1ツ星レストラン「ル・クレール・ド・ラ・プリュム」のシェフ、ジュリアン・アラノによるメニューとコート・デュ・ローヌの極上ワインをご堪能ください。
2017.1.20(金)-29(日)
いわずと知れたシャンパーニュの産地。トピナンブール(きくいも)、チーズ 、牛肉、りんごなど、地元で親しまれる食材を使った郷土料理をご用意します。飲むだけでなく、料理のかくし味としても秀逸なシャンパーニュの魅力を披露します。
特別ディナー“ソワレ・グルマンド”
2017年 1月19日(木)19時開宴
終了しました。
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地中海で最も美しい島と詠われるコルシカ島は、2,000m級の山がそびえる雄大な自然が人々を魅了するフランスの秘境です。 フランスの皇帝ナポレオンの生まれ故郷として有名ですが、地理的にはイタリア半島に非常に近く、 1768年にフランス領となるまで、イタリアに占領された歴史から、イタリア文化の影響が色濃く残っています。 フランス人でもイタリア人でもない、コルシカ人の祖先は、四方を海に囲まれていながら、 内陸の山岳地帯で牧羊生活を送っていた山の民。起伏と変化に富んだ地形、乾燥した温暖な気候、 そして年間を通してさんさんとふりそそぐ太陽の日差し。 「海にそびえる山」と例えられるコルシカ島の山には、食材の恵みがあふれています。
地中海の太陽がふりそそぐコルシカは、レモンの原種セドラをはじめ、レモンやオレンジなど柑橘類の栽培が盛んです。今回、「ジェーム・ラ・フランス」のメニューにコルシカらしい風味を加えたいと、コルシカ島内陸の北、標高1,000メートルの山の中に、自然を尊重してコンフィチュールを作る「ジャンポールバンセンシニー」を訪ねました。自家果樹園と協力農家が完熟期に収穫した100%オーガニックの柑橘類、栗、イチジクなどにきび糖を加え、
昔ながらの製法で作るコンフィチュールは、山の恵みそのものの素朴な味わい。コルシカでは、コンフィチュールは栗の粉で作るパンにつけて食べる他、お菓子につけたり、肉料理のソースに加えたり、羊のチーズにつけたり、ソーダや紅茶に入れたりと、様々な方法で食べられています。「ジャンポールバンセンシニー」の
ある山は、樹齢800年にもなる栗の木が生息する森。山岳地帯のコルシカは、小麦の栽培が困難なため、山で取れる栗が伝統的な主食です。日本のものと比べると小さな栗ですが、そのまま料理に使うだけでなく、粉にしてパンにしたり、お菓子にしたり。コルシカ島産の栗粉は、フランスのAOCの認証を受けています。
※「ジャンポールバンセンシニー」のコンフィチュール取り扱い
ビオ プロジェクト
http://bio-p.com/
コルシカはブドウ栽培には理想的な条件の揃ったワイン産地です。地中海性気候の影響により年間を通じて温暖で、日照量もたっぷり。海からの冷たい風と山からの吹き下ろしで、常に風が吹いています。また、1日の中での寒暖差が大きく、ブドウの成熟に大きな影響を与えます。ブドウはコルシカの土着品種とイタリア系の品種が使われ、フランスとイタリア両方の要素を併せ持つ魅力的なワインを生産しています。
AOCコルス カルヴィ
ドメーヌ・レヌッチ
コルシカ島の北西、海と山に挟まれ、ブドウ畑やオリーブ畑、
そして灌木地帯 “マキ”に囲まれたドメーヌ・レヌッチを訪問しました。1850年から家族で営む老舗のドメーヌで、コルシカの土着品種のブドウを使い、その品種の特徴を活かしたワイン作りで、特に白ワインは高く評価されています。
AOCパトリモニオ
アントワーヌ・アレナ
島の北部、パトリモニオにコルシカ最高のワインの生産者、アントワーヌ・アレナさんを訪ねました。彼のワインは、フランスの三ツ星レストランや限られたカーブのみで扱われ、
コルシカ島でもほとんど買うことができない幻のワイン。イタリアでも良く使われるサンジョヴェーゼ種を使い、クオリティーの高いワインを生産し続けています。2015年より畑を2人の息子に譲り、数年後には引退を考えているとの事。彼の手によるワインが楽しめる時間は、残りわずかです。 シェフソムリエ 永田良憲
古代ローマ時代からコルシカで栽培されるセドラはレモンとオレンジの共通の原種。レモンの約5倍の大きさで4kgになるものも。でこぼこの分厚い皮で覆われ、その皮から抽出されるフレッシュで繊細な香りはエッセンシャルオイルや香水にも使われます。
シェフ野口とシェフソムリエ永田がコルシカを訪れた5月は、グレープフルーツによく似たポメロのシーズンでした。
栗はコルシカの暮らしに欠かせない食材。栗の実を食べて育つ野性のイノシシや豚の肉はコルシカの名物。
コルシカ島には多様なハーブが自生しており、その潅木地帯を“マキ”と呼びます。そんなハーブをまとわせて熟成した、クリーミーでコクのある羊のチーズです。
フランスにはその土地ならではの歴史や文化を今に伝える暮らしと風景、そして食文化がたくさん残されています。 今年ご紹介する4地方を野口シェフが訪れ、生産者やシェフに会うことは、皆様に「ジェーム・ラ・フランス」という味わいの旅を楽しんでいただくための重要なプロローグです。 その土地の文化や人々に思いを馳せながら、料理とワインを味わってみてください。きっとフランス料理をいつもより一段と美味しく、楽しんでいただけるでしょう。
アラン・デュカス